「アメリカでは高校生のときからひとり暮らしになるから、日本よりも大人びている学生が多い」
そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。たしかに、「最初から最後まで全て自分でやってみる」というひとつ経験が、その後に歩む道において大活躍するなんてこと珍しくない。そして、そして、日常生活ほど「誰かにやってもらっていた」ことは少ないのではないだろうか。
「公共料金は本質的に借金である」という当たり前のことに気付いたのは、ひとり暮らしをしてからいくつかの月日が流れたころだったと記憶している。公共料金は「ひと通り使った後になってようやく請求される」のだ。日本の電話料金も同じ。使ってるときは財布が軽くならないから、つい使いすぎてしまう。クレジットカードも。本質的に借金なのだ。そんなことすら"理解"していなかった。
「ゴミをどれぐらい溜めると虫が発生するのか」、
「土日あるいは平日のトラックの交通量、地域の性質など、何回ほど内見すれば、実際に住んだときの暮らしを把握できるのか」、
「目指してしまいがちな主婦レベルの家事を諦めるには、何に気付けばいいのか」、
「何の予備をどれだけ保持していると日用品欠品ストレスから解放されるのだろうか」、
「買い貯めしたことによる栄養管理の困難さと冷凍庫の整理に使う心的コストは、買い貯めすることによって得られた楽チンさと見合っているだろうか」、
「襲いくるちょっとの寂しさを副作用なしで回避するにはどうするのがいいのか」。
物件と住居地区情報管理コスト、ストレスあるいは寂しさ管理コスト、冷蔵庫整理コスト、衛生管理コスト、月々の支払い管理コスト、重要書類管理コスト ― たくさんの困難、たくさんの問題と直面する。
ひとり暮らしをする前は、それらをほとんどすべて「誰かがやってくれていた」のだ。
それを始めるには、たくさんの不安があるだろう。
もう乗り越えてきた人にとっては、懐かしいことかもしれない。
まだ始めたことがない人にとっては、未来の自分に宛てて書いて欲しい。
「ひとり暮らしにおいて肝心だと思うこと」
御題の投稿者は、初のひとり暮らし、20代前半の女性、東京都郊外在住。
(御題提供:匿名 / 前口上:らららぎ)