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声に出す、難しさ / 著者:江藤あかり - ch6

「なぜ伝言ゲームは言葉を正確に伝えられないのか」

結論を先に述べると、「文字で見えないから」。きっと、伝言ゲームが文字で伝えるものであれば、正確に伝わるでしょう。むしろ正確に伝わらないのであれば、文字というツールが機能しませんし、メールや手紙といった文化も発展しなかったはずです。

では、文字として伝えない場合は正確に伝わらないのでしょうか。伝言ゲームは「口から発せられる言葉」で伝えるゲームですが、変則ルールとして「絵」だけで伝えるルールである場合もありますね。絵で伝える場合、言葉での説明は禁止され、紙や板に書いた絵を言葉の代わりに伝えていくルールになります。

「絵で伝言ゲーム」、テレビのバラエティ番組でたびたび目にするぐらいですからだいたいがうまくいかないものです。全力でもわざとでも、絵に関する技術が個人差に大きく左右されるからこそ、うまくいかないのでしょう。うまくいかないのが面白いんですが。

言葉の伝言ゲームでもおそらく同じです。言葉に関する技術が個人差に大きく左右されるから、うまく伝わらないものになるのではないかと。聞き手が普段聞きなれない言葉や文章を、声に出して伝えるというのはとても難しい。東京で生まれ育った人間が、関西弁を自然に発音することはほぼ不可能、それに似ています。小学生の頃に宿題で出た音読、あれはいつも口にしない文語をあえて声に出すことで文に慣れる、伝言ゲームのトレーニングといっても過言ではありません。

普段聞いている言葉というのは、育つ環境や置かれる立場で人それぞれ異なります。その環境や立場による言葉の解釈の違いがあるために、正確に伝わらない。伝わった単語や文章を、普段聞き慣れている単語や文章に無意識に変換してしまう。それが、伝言ゲームが正確に伝わらない原因なのではないかと思います。それが文字であればきっと正確に伝わるのでしょう。

あと原因が考えられるとすれば、ゲーム参加者の遊び心、なのではないでしょうか。

(編集責任ちくわ;改行を頼まれました)

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