_2016年あけましておめでとうございます。
(ⅰ)エアリーズです。
だいぶ久々の寄稿になってしまいましたが、ちょっと前から考えていたのもあり、このきあずまについて私なりの観点から ― それはつまり法的な何か
(ⅱ)なのですが ― 考えてみたいと思います。
「きのこたけのこ戦争の理想的な終わり方」これを考えるにあたっては、はじめにきのこたけのこ戦争(以下、短縮して ”きのたけ戦争” と呼びます)の性質について検討しなければなりません。
そもそも戦争とは何なのでしょうか? それは宣戦布告
(ⅲ)によって始まり双方の武力の行使を伴う国際紛争を指します。現在は宣戦布告が行われない戦争のみになり、また国境を超えない、いわゆる内戦も問題となってきたので戦争の代わりに「武力紛争」ということも多いです。
では、きのたけ戦争はどうでしょうか?
宣戦布告はありませんね。そもそも国境を越えてはいません。しかし日本国内の内戦なら「非国際的武力紛争」として戦争と取り扱うことも可能です。
しかしここで一番の問題が発生します。武力衝突を伴っていないのです。
武力とは軍隊等(一般には部下に対して責任を負う指揮官の下に組織された武装集団)による力の行使で、その衝突とは武器を使用することを指します。
今のところたけのこの里支持者(以下、里の者)ときのこの山支持者(以下、山の民)が武力衝突したという話は聞きません。というかそんな事態になっていればもっと大問題です。
しかしこの結論も大変です。つまりきのたけ戦争は「戦争」ではないのですから。
とはいえ武力を伴わない、つまり双方が主張をぶつけているだけの問題というのもあります。そういうものは単に「紛争」と呼ばれます。
よって以降、ここでは「きのたけ戦争」ではなく「きのたけ紛争」と呼ぶことにしましょう。
さて、性質も定まったところで次の「理想的な終わり方」について検討することにしましょう。
紛争の最終的かつ決定的な決着のつけ方は戦争をすることです。戦争を行い勝った方の意見を負けた方に呑ませれば如何なる問題も決定的に解決します。
しかし、現代の法は可能な限りこの手段を行わないようにさまざまなルールを用意しています。
(ⅳ)やはり一つの問題のために多くの命が失われる事態というのは避けたいものです。
そこで私たちもきのたけ紛争が最終的に武力衝突となって解決するのは理想に反するとしましょう。
では何なら「理想的」と言えるでしょうか。
武力衝突を伴わずに紛争を解決する方法。これを国際法上は紛争の「平和的解決手段」といいます。この手段はさまざまありますが、主に国連憲章33条に列挙されたものをいいます。
それは「交渉、審査、仲介、調停、仲裁裁判、司法的解決、地域的機関又は地域的取極の利用その他」を指しますが、例えば「交渉」とは二者間の直接的な話し合い、「仲介」は第三者が話し合いの間に入って意見を調整することを言います。
いろいろと列挙されていますが、おおむね右に示されたもの程決定力が強いとされています。きのたけ紛争に関していえば地域的機関・地域的取極(条約)はありませんし、司法的解決(国際司法裁判所に付託)は出来ませんので、一番決定力が高いのは仲裁裁判ということになるでしょう。そこでここではより抽象的に仲裁の仕組みを見ていくことにします。
仲裁とは、紛争当事者が互いに仲裁者の下した判断に従うことを同意したうえで仲裁者に判断を仰ぐ方法を言います。
いわば自分たちで裁判所を作り第三者を裁判官にして判決を下させる
(ⅴ)方法です。中世まで戦争の講和によく用いられていたようです。
国際法上は常設仲裁裁判所という組織もあり、たとえばもし国家間が仲裁裁判を行うと決めたら第三国から3人、さらに各当事者から1人の裁判官を任命して裁判を行う等しています。
さてこうしてみていくと、きのたけ紛争の理想的な終わり方は仲裁による平和的解決と言えそうです。以下具体的に提案をしてみます。
まず里の者と山の民がそれぞれ仲裁の結果を確定的なものであるとして事前に決定します。
(ⅵ) そのうえでそれぞれ1人の代表者を選出します。
次に第三者ですが、全体的な経営規模がきのこの里、たけのこの山を販売する明治製菓より大きい別企業で、きのこ・たけのことは別に一定の支持層のいるお菓子ということでここではロッテのトッポにしましょう。そうです「それに比べてトッポはいいよね、中までチョコたっぷりだもん」の人たち(以下、トッポ民)です。
(ⅶ) トッポ民より3人の代表者を選出し、さらに互選で1人を裁判長に任命します。
よってこの3人のトッポ民と各1人の里の者・山の民からなる計5人の「きのこたけのこ仲裁裁判所」を臨時に開設しそれぞれ当事者の主張を聞いたうえで5人の話し合いからきのこ・たけのこのどちらがどの点で良いのか「裁判所判決」を下します。
これによってきのたけ紛争は双方の事前同意を援用して最も理想的な形(少なくともそうみなされること)で解決・終了するのです 。
(ⅷ) 以上です。ご精読ありがとうございました。
(ⅰ)1/27 20:00確認段階では私が今年最初の投稿のようだったので
(ⅱ)ただし、これはあくまで法的に確立された制度や理論を用いて解決策を提示する一つの思考実験であって、法的な手段を提示するものではないのでご了承いただきたい。
(ⅲ)詳細は開戦ニ関スル条約(1910/1/26発効)
(ⅳ)例として不戦条約(1929/7/24発効)1条に戦争の放棄が、国連憲章(1945/10/24発効)2条4項に武力行使を控えるべきことが規定されている。
(ⅴ)これは判決(確定判決)なので覆すことはできず上訴などもできない。
(ⅵ)もし、この決定がなされないときは仲裁は出来ない。その場合は先述の国連憲章33条に規定される「調停」が一番良いだろう。ここでは第三者を交えた調停委員会(構成は後述の仲裁裁判所と同じでよい)によって調停案(仲裁判決に相当)を提示し、これを両当事者が受諾することによって解決する。もし双方一方でも呑めないときはその理由をつけて拒否することでさらに改正した調停案を作成するのである。
(ⅶ)なお、筆者はどちらかといえば里の者なのであって少なくともトッポ民ではない。もちろん里に有利になるように配慮してはいないし国連憲章以下の平和的解決手段はその中立性も担保される。
(ⅷ)なお、もし話し合いが円満に決着しないときや一方が強く反対したとき等はどのような話し合いが行われたか議事録を公開したり、反対意見を別に記載することにより問題の解決がより建設的なものになると考える。
(編集責任:ちくわ)